【ひたちなか市】
年間で285時間分の業務負担を削減
これまで以上に対人業務に注力できるようになった
ひたちなか市では介護認定審査会の準備のため、時間外労働が多く発生していた。今後の申請件数増加を見据えてmoreNOTE介護認定審査会デジタルパックを導入し、業務効率化を実現した取り組みについて伺った。
導入効果 |
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事前判定機能で全ての委員の意見を反映できるように
moreNOTE介護認定審査会デジタルパックを導入する前の課題を教えてください
坂本様 介護認定審査会の資料作成においては、作業量が多く時間がかかっていました。当市では3種類の資料をデータ化してパソコンに取り込んでから印刷をします。さらに、郵送費を節約するために、介護認定調査員に依頼して審査委員へ資料を届けてもらっていました。そのため調査員の訪問先を調べて、誰にどの資料を届けてもらうかを手配しなければなりません。職員は毎日21時、22時まで残業をしているような状況でした。
さらに、審査会終了後にはすべての資料を回収し、週2回程度、地下の書庫へ運び保管していました。ある程度量がたまると、直接専門の業者のところに資料を持ち込んで廃棄するため、大きな手間となっていました。
導入の経緯をお聞かせください
坂本様 2022年4月に介護認定業務の見直しを図り、審査会のリモート化とペーパーレス化を検討しました。当時の課長や部長と相談のうえ、2023年度の市の重点施策に位置付け準備を開始しました。
審査会委員(以下「委員」という。)に対しては、アンケートを実施して不安な点や心配な点をヒアリングしペーパーレスシステムを安心して使っていただけるよう不安の解消に努めました。
薄井様 moreNOTEを選んだ理由は、事前判定機能が搭載されると富士ソフトの担当者から連絡をもらったためです。他のペーパーレスシステムにはない機能だと思いました。
坂本様 当時、審査会の委員長からもっと委員の意見を取り入れた審査会にしたいというご意見をいただいていたこともあり、事前判定機能を活用すれば各委員の意見を反映させやすくなるのではと考えたからです。実際、導入後は事前判定で介護度が異なった場合、その理由を聞くなどして各委員の意見を取り入れやすくなったと思います。また、意見が一致するものは迅速に進め、意見の相違があるところは時間をかけることで、メリハリのついた審査会が可能となりました。
予算確保のため、他部署の協力を得て臨時交付金を活用
導入にあたって予算はどのように確保しましたか?
坂本様 介護保険課の時間外労働の多さは長年の課題となっていたので、財政担当や総務部門の協力により、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用できました。介護保険課は年々申請件数が増えているため、予算がどんどん増えています。そのため、日頃から財政課とは課題を共有し連携をとるようにしており、それがよかったのだと思います。
委員からは、スムーズに理解を得られましたか?
坂本様 最初に審査会の会長にご説明をしたところ、状況をとても理解してくださり、「ぜひ進めたほうがいい」と後押ししてくださいました。2023年4月に委員にペーパーレス化についてお話をし、6月には操作説明会を開催しました。その時に、市の介護認定の状況を説明し、今後も審査件数は増えていくため業務効率化が必要だと伝えました。会長からも必要性を説いていただいたので、委員からの反対はありませんでした。
本格導入までの進め方を教えてください
薄井様 事前にマニュアルを作成しました。moreNOTEはカレンダーを開いて日付を押せば、すぐに資料が出てくるので、操作に迷うことはあまりありません。ただ、タブレット端末の扱いに慣れていない方もいらっしゃるため、マニュアルには、電源の入れ方や充電方法などタブレット端末の使い方についても掲載しました。
坂本様 7月は紙資料とmoreNOTEを併用し、8月からは完全にペーパーレス化としました。また、審査会は委員の都合に合わせてリモートでも参加できるようにしています。
資料準備の時間を大幅に削減し、人対人でしかできない仕事に注力
使い勝手はいかがですか?
薄井様 ページをめくったり文字を書いたりするのが直観的にできるので、操作に慣れない委員もすぐに使っていただけました。導入当初は、二画面表示など戸惑う委員もいましたが、すぐに調整できたので、審査会に支障はありませんでした。紙の資料と差がなく、同じように使えるのがmoreNOTEの一番のメリットだと思います。
導入の効果を教えてください
坂本様 資料作成時間が年間で285時間、日に換算すると、35日分削減できました。紙はA4換算で約9万1,000枚減らすことができ、コピー代も減らせました。廃棄資料は地下の書庫で保管していましたが、保管の必要がなくなったので、空いたスペースを有効活用できています。資料は認定調査員に審査委員の元まで届けてもらっていましたが、届ける必要がなくなり、認定調査員の手間も削減できたと思います。
これから申請件数が増えれば、当然資料も増えます。ペーパーレス化にしたことで、費用は固定費となり、先々の予算の見通しが立てやすくなりました。
薄井様 出席する委員が急遽変更になった場合、今までは資料を新たに用意して職員が届けていましたが、その作業もなくなりました。
今後の展望をお聞かせください
坂本様 時間に余裕がないと職員は目の前の仕事に追われ、先を見据えた対策を立てられません。moreNOTEを使うことで資料準備等の時間を大幅に削減し、考える時間を生み出せたと思っています。
また、現在は介護保険の申請にいらっしゃるご家族の方も高齢の方が多くいます。そのため、説明には時間をかけて丁寧に行う必要があります。相談などは人対人でしかできないので、その時間を確保するためにも、moreNOTEを使った業務の見直しは有効だったと思っています。
他の自治体へのアドバイスをお願いします
坂本様 紙資料と併用する場合は、1ヶ月、2ヶ月と期間を決めるとよいと思います。慣れれば紙の資料を使っていた時と同じように審査会を進められるので、思い悩むよりも実際にやってみることをおすすめします。
【ひたちなか市ってどんなとこ?】
ひたちなか市は、茨城県の太平洋沿い中央に位置する人口15万人の都市です。工業都市として発展した旧勝田(かつた)市と、水産業の盛んな旧那珂湊(なかみなと)市の合併により誕生し、令和6年11月1日に30周年を迎えました。
市内には「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」にも選ばれた国営ひたち海浜公園があり、春には青い花を咲かせるネモフィラが、秋には真っ赤に紅葉したコキアが丘一面に広がり、その風景はまさに絶景です。また、市内を走る「ひたちなか海浜鉄道湊線」や新鮮な海の幸を味わうことができる那珂湊(なかみなと)おさかな市場、生産量日本一のほしいもなど、自然やレジャー、グルメなどたくさんの魅力にあふれています。
保健福祉部
介護保険課
坂本 氏
薄井 氏
自治体名: | ひたちなか市 |
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所在地: | 〒312-8501 茨城県ひたちなか市東石川2丁目10番1号 |
導入時期: | 2023年7月 |
URL: | https://www.city.hitachinaka.lg.jp/ |
※当事例は2024年10月時点の情報です。 |