【結城市】介護認定審査会を完全ペーパーレス化
業務効率化はもちろん、セキュリティリスク、感染症対策にも効果的
茨城県結城市では、介護認定審査会の完全ペーパーレス化のためにmoreNOTEを導入している。導入にいたるまでの経緯、導入後の効果について紹介する。
導入効果 |
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moreNOTEの直感的なインターフェースとセキュリティ性を評価
moreNOTE導入のきっかけを教えてください
保健福祉部 介護福祉課では、介護認定に関する業務として、介護認定審査会委員による審査会を開催し、要介護度を判定しています。その審査会のために使用する資料が膨大でした。
ペーパーレス化はどこの自治体でも行政改革の取り組みの一つですが、審査会でも紙の消費量と資料準備等の作業を削減するため、ICTを活用してペーパーレス化を行い、業務の効率化を図ることになりました。
moreNOTEを選んだ決め手は何でしたか?
導入にあたっては複数の製品を比較検討しました。また、茨城県常総市が介護認定審査会でiPadとmoreNOTEを活用した先進的な取り組みをしていると聞き視察に行ったところ、とてもスマートに審査会を運営できているという印象を持ちました。
moreNOTEは直感的なインターフェースデザインで操作がしやすいこと、審査会では個人情報を取り扱うため、セキュリティが確保できるなど、総合的に判断して決定しました。
どのようにご利用されているのでしょうか?
介護認定審査会の資料をペーパーレス化し、委員にはiPadとmoreNOTEを使用して資料を閲覧してもらっています。審査会の資料は会議カレンダーに紐づけて登録しています。
行政改革にペーパーレス化は必須
moreNOTEの導入の手順や、運用開始までの段取り・スケジュールなどを教えてください。
先進地である茨城県常総市を視察した後、平成30年度と31年度に予算要求を行いましたが、その当時は他に優先順位の高い案件があったため、予算が通りませんでした。
それでも、ペーパーレス化は行政改革に必須です。そのため、その後も委員向けにmoreNOTEのデモとアンケートを実施したり、費用対効果を算出して予算要求を継続しました。予算が通過したのは令和2年度予算です。
令和2年7月に、委員と事務局分の計22IDで契約し、10月に導入しました。委員20名にはiPadを配布すると共に、操作研修会を実施しました。研修会は、富士ソフトに支援していただきました。
導入当初は紙資料の配布も行っていましたが、3か月経った時点で過半数の委員から「もう紙の資料はいらない」との意見を頂き、半年後にはペーパーレスに完全移行しました。
費用対効果はどのように算出されたのですか?
職員一人あたりの人件費の時間単価を概算で算出し、導入前と導入後の業務時間を比較して、人件費の削減を数値化しました。さらに紙代やその他の費用等も加味して、経費が大幅に削減され、導入費用に対してペーパーレス化が効果的だということが分かる資料を作成しました。
使い勝手・感想はいかがですか?
当初、委員からは「紙で慣れているのでiPadでは不安」という声もあったのですが、今ではとても評判がいいです。「これまでは、かさ張る紙の資料を持ち歩くのは大変だった。今はiPad1つあれば、そこに資料が全部入っている。身軽になって良かった」との感想を頂いています。委員が閲覧する資料は、会議資料の他にも、委員用テキストや連絡文書などがあり、持ち歩くのも負担になっていたようです。
事務局でもiPadを使うことへの不安はあったのですが、使ってみると操作は簡単でした。行政改革におけるペーパーレス化の推進ではICTの活用は必須です。ペーパーレス化やiPadの活用は便利になることが分かっていて進めたことですが、導入してあらためて、こんなに簡単なことだったのかと驚きました。
紙の見やすさよりも、紙がなくなったことのメリットが勝る
moreNOTEを導入してどのような効果がありましたか?
1回の審査会で約20件の審査を行います。従来は1件につき、A3用紙両面を約20枚、A4用紙片面を約5枚の資料があり、それを角2封筒に入れて準備していました。そのセットを審査会に出席される委員用5部と事務局用1部の計6部を用意します。審査会は週に2回あり、年間で約100回あるので、約2000件分の紙が削減でき、印刷や製本にかかっていた作業時間も削減できました。
また、その資料を審査会の1週間前に委員に配布するのも手間と費用がかかっていました。市内在住の委員には職員が公用車を使って手渡しで届けるため、往復で約1.5~2時間かかり、市外の委員には簡易書留で1通570円かけて郵送していました。その手間と郵送費が削減されました。さらに車で届けるため、職員の安全や資料を紛失するなどセキュリティリスクもありましたが、その心配もなくなりました。
資料の準備以外にもいろんなことが削減されたのですね。
病院の先生に届ける場合は、病院が開いている時間に届けなければなりませんでしたが、時間の心配がなくなり、今はストレスが減りました。先生側も資料がいつ届くのかと、時間を気にして待たなくても済むようになりました。
審査会が終わると、情報セキュリティ対策のために資料はその場で回収し、シュレッダーで廃棄作業をしなければなりません。これにも時間と手間がかかっていました。現在は、審査会が終わったらボタンを押すだけでデータは削除されます。
試算すると、全体で年間475時間の作業時間を削減できました。その上、BCP(事業継続計画)対策にもつながり、人との接触機会が削減できたことで新型コロナ感染症拡大防止対策にもなりました。
介護認定審査会は、ペーパーレス化のハードルが高いと聞いています。
紙の資料の方が見やすいというメリットはあります。しかし、「紙と同様にストレスなくメモができ、身軽になったのは良かった」という意見を多く頂いています。また、紙がなくなったことによる業務負担の軽減や、様々なリスク回避の効果の方がはるかに大きいです。
ペーパーレス化はどこの自治体でも行政改革の取り組みの一つになっています。行革担当者と協力した方が導入は進めやすいと思います。
今後の展開・期待を教えてください。
サーバー容量の都合もあり、現在、審査会の議事録は紙で保管しています。さらなる業務効率化のためにサーバーに保管できれば便利になると考えています。また、感染症対策のために、オンラインでの審査会の開催を検討しています。ペーパーレス化ができているとオンライン開催のハードルがかなり下がりますので、moreNOTEを導入していて良かったです。
【 結城市ってどんなとこ? 】
結城市は、関東平野のほぼ中央、茨城県西部に位置し、鎌倉時代以降、長きにわたって城下町として発展を遂げた歴史のあるまちです。
市域の北部は、関東でも有数の歴史を誇る城下町の町割りが現在も残り、神社や仏閣、店舗兼住宅の蔵造り建築物「見世蔵(みせぐら)」など歴史ある街並みは、貴重な文化遺産となっています。北西部から中央部には住宅地と工業団地が、南部には広大な農地が広がっています。
本市を代表する産業である高級絹織物「結城紬」は、その全行程が手作業で行われ高い品質を維持しており、平成22年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
また、農業も盛んで、トウモロコシやトマト、レタス、白菜などの新鮮な野菜が首都圏に向けて出荷されています。
保健福祉部 介護福祉課 介護認定係
介護認定係長
廣江 智子 氏(写真中央)
総務部 総務課
行政経営係(行革担当) 係長
佐藤 広明 氏(写真右)
団体名: | 茨城県結城市 |
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所在地: | 〒307-8501 茨城県結城市中央町二丁目3番地 |
導入時期: | 2020年10月 |
URL: | https://www.city.yuki.lg.jp/ |
※当事例は2021年8月時点の情報です。 |